2017年02月05日

[韓国語]役不足と魚貝類

 日本でよく真逆の意味で誤用されることばに“役不足”があります.実力のある人に,その実力よりも低い役割しか与えられないことを指すのが正しいのですが,それとは逆に,実力以上の役割を与えられて到底こなせるとは思えないときに「あの人では役不足だ」などといわれることが少なくありません.

 “役不足”という漢字をそのまま韓国語読みすると“역부족”.韓国では日本で誤用されている意味で使われています.日本での誤用が植民地時代に定着したのかな,と思って韓国語の辞書を引いてみると,“역부족”の漢字表記は“力不足”.これなら納得がいきます.

 しかし,ひょっとすると日本の“役不足”の誤用が韓国で定着して“역부족”ということばが広く使われるようになった後に,整合性を取るために漢字表記の‘役’を同じ発音の‘力’に変えた可能性もあるように思います.

 韓国では頭音法則で‘力’の発音は‘역’ですが,頭音法則を認めない北朝鮮ではどうなっているのかとオンラインの「조선말대사전」検索すると,“역부족”,“력부족”の2つとも“찾으려는 단어가 없습니다.”というつれないメッセージが表示されます.疑問を解く手がかりがつかめるかもと思いましたが,結局迷宮入りです….

 これとは逆に,もしや日本が漢字を変えたのではと,ひとりで勝手に疑っていることばがあります.それは“어패류”(魚貝類)です.韓国語での漢字表記は“魚介類”ではなく“魚貝類”で,「표준국어대사전」に“어개류”ということばは収録されていません.

 なので,“魚貝類”と書いて“ギョバイルイ”などと呼んでいたのが,漢字表記に引きづられて“ギョかいルイ”のように訓読み交じりで呼ばれるようになり,間違った呼び方が広まった後になって音読みに統一しようと,‘貝’を‘介’に変えたのでないか,とも考えられなくはありません.

 しかし,この仮説はいったん次のページであっけなくボツになりました.このページには,“おそらく「魚介類」の「介(カイ)」を「貝(かい)」と混同したものだと思われます。”と,私の考えとは真逆のことが書いてあります.

●魚介類? 魚貝類? | ことば(放送用語) - 最近気になる放送用語 | NHK放送文化研究所
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/071.html

 先に“魚貝類”があり,“魚介類”は後からできたことばだと私は思っていましたが,NHKでは,“魚貝類”は“魚介類”の誤用と見ているようです.実際はどうなのかスッキリしたいところですが,すでに長くなりましたので今回はこのへんで….
posted by kajiritate webmaster at 22:02| Comment(0) | 日記