2017年01月21日

[韓国語]눈엣가시の‘엣’は助詞!?

 “앞엣것”(前のもの),“밑엣것”(下のもの)…,特に口語でよく使われる表現だと思います.ただ,“앞엣것”とその逆の“뒤엣것”(後ろのもの)は,そのままの形で표준국어대사전(標準国土第辞典)に収録されています.“밑엣것”は,なぜか載っていません.

 これらのように,中に‘엣’が入っている単語としては,日本語の“目の上のたんこぶ”に当たる“눈엣가시”もあります.韓国語では“혹”(こぶ)ではなく“가시”(とげ)になっていて,しかも目の上にではなく,目の中にとげが入っているような言い方ですので,その目障り感は数段上のようです.

 それはともかく,これまで出てきた単語すべてで仮に‘엣’は“〜の”という意味の助詞だと考えると,まとまった形を単語とみなしてそれぞれ辞書に掲載する必要は無さそうにも思えます.しかし,표준국어대사전で‘엣’を引くと見つかる同形の2つの見出し語は,いずれも助詞ではありません.

 一方,DAUM한국어사전(韓国語辞典)には,助詞としての‘엣’が掲載されています.DAUM한국어사전のデータの出典は,高麗大学校で編纂された“고려대한국어대서전”(高麗大韓国語大辞典)で,細かく見ると,표준국어대사전とは見解が異なるところが存在したり,표준국어대사전よりも後に出た辞書ですので,語釈に比較的最近生じた意味が載っていたりするとてもユニークな辞書です.

●엣2
http://dic.daum.net/word/view.do?wordid=kkw000178584&supid=kku000224016

 こちらの辞書には,“앞엣것”,“뒤엣것”,“밑엣것”は載っていませんので,これらは単語ではなく,それぞれ‘엣’を助詞と見なして“앞엣 것”,“뒤엣 것”,“밑엣 것”という形態と見ていると考えられます.ただ,“눈엣가시”は掲載されていますので,こちらは“目障りなもの”,“邪魔なもの”という慣用的な意味のあるひとつの単語と見なしているのが分かります.

 표준국어대사전に話を戻すと,“앞엣것”の発音の表記は“[아페껃/아펟껃]”となっています.ふつうなら斜線の後ろの“[아펟껃] ”となるはずですが,“[아페껃]”が先に書いてある上に2通りの発音が併記されているので,“앞엣것”の‘엣’の‘ㅅ’は,사이시옷(サイシオッ)と見なしていることが分かります.この点は“뒤엣것”も同じです.

 “밑엣것”の他にも“옆엣것”(横のもの)など,場所や方向を示すことばならけっこう自由に付けられるはずです.それらすべてを辞書に載せていてはきりがありませんので,“엣”を助詞と認めたほうが合理的だとも思えます.

 표준국어대사전は,四半期ごとに内容の見直しが行われていますので,今後の改訂でこの点が変わることがあるのか,逆に,고려대한국어대서전から助詞の‘엣’が外されることがあるのか,ひとり密かに注目していこうと思っています.
posted by kajiritate webmaster at 23:18| Comment(0) | 日記