2016年12月13日

[韓国語教育]文法用語の統一

 韓国語の学習を続けていると,入手した教材の数もだんだん増えていくと思います.教材によって違う文法用語が使われていると,内容的には結局同じことでも違うことのように思えて戸惑うことがあります.“変則活用”と“不規則活用”程度の差なら,混乱させられるほどのことではないかもしれませんが,例えば,「朝鮮語の入門」など菅野裕臣先生の著書では“ㄴ(n)挿入”のことを“リエゾン”と呼んでいて,同じことだとは分かりづらいと思います.

 文法の説明は,教材ごとに特長や個性があって当然だと思うのですが,文法用語はなるべく統一したほうが,特に初心者の無用な混乱を防止できると思うのですが,その点について標準となるような規定を設ける動きは,日本の韓国語教育ではまだ無いようです.韓国の場合,昔は複数の出版社が出していた高校の「문법」の教科書を,混乱を避けるため,1種類のみにしたという経緯があったようです(現在は国語教科の一部となり,独立した「문법」という教科は存在しないようです).

 また,レベル別の語彙の選定方法はすでに多くの研究成果があり,語彙リストもさまざまなものが存在しますが,レベル別の文法の教授内容選定については,“-ㄹ 수 있다/없다”,“-ㄴ 적(이) 있다/없다”…などのいわゆる“文型”に関するもののみで,その他の事項についてはあまり関心を持たれていないように思えます.

 当サイトの掲示板に最近,教材にとしてお使いの本に掲載された鼻音化をまとめた表が理解しづらく,鼻音化に関する当掲示板の過去の書き込みも難しい,とのご投稿を頂きました.初心者に表を完璧に理解させるのは酷ですし,各レベルで何をどれだけ教えるのが適切なのか,といったことは,鼻音化ひとつを取っても明確な指針がありません.

 将来的には,文法や発音に関する各事項の教授内容についても詳細に示した指針ができると思いますが,その基礎作りのためにも,まずは用語の整理と共通化は重要だと思います.その拠り所の役割を,国立国語院のサイトで公開されている「한국어 기초 사전」の各国語版である「한국어 학습 사전」が担うことを,私は期待しています.

 例えば,학교 문법で定められた韓国語の9品詞のうち「관형사」を和訳する場合,韓国での漢字語そのままの“冠形詞”とする方法と,より日本語らしく“連体詞”とする方法と,どちらを採るべきか悩むところです.こんなとき,「한국어 학습 사전」の日本語版の参考にして,この辞典で採られている“連体詞”という表記に従うことで,混乱を避けることが出来ます.

 もちろん,今後「한국어 학습 사전」の日本語版よりさらに信頼度の高い資料が登場する可能性もありますし,例えば品詞の場合,日本の韓国語教育では“指定詞”や“存在詞”を認める考え方が優勢など,本国とは状況が異なるところもありますので,韓国での方法をそのまま日本に当てはめるわけにもいきません.しかし,何らかの標準化を進めて教材によってまちまちな部分を減らしていくことは,今後の日本での韓国語教育の発展には欠かせないことのひとつだと思います.
posted by kajiritate webmaster at 23:14| Comment(0) | 日記