2016年11月10日

[韓国]自国中心主義から脱却できるか?

 アメリカの大統領選挙は,どのマスコミも世論調査ではクリントン氏が優勢と伝えたのに反して,トランプ氏が当選しました.イギリスのブレクジットの投票のときと同じように,結果はまさかの大どんでん返し.韓国ではパク大統領の下野を求めるデモ,というか,大規模集会が盛んに行われていますが,アメリカでは就任前からトランプ氏の大統領就任に反対するデモが始まっているようです.

 トランプ氏大統領就任の影響は米国内だけでなく全世界に及ぶでしょうが,具体的にどのような影響があるのかはまだよくわからず不安です.中には良い影響もあるかもしれません.しかし悪い影響も少なからずありそうです.韓国に及ぼす悪影響のひとつとして,駐韓米軍の費用負担の増加が憂慮されています.その点は在日米軍を抱える日本も同じですが,北朝鮮のミサイル対策で配備が決定したサードの費用負担など,韓国特有の事情もあります.

 私が個人的に最も憂慮しているのは,トランプ氏が排外主義的な考えの持ち主のようだという点です.アメリカはこれまで,さまざまな人種を受け入れてきました.ちょうど海流がぶつかり合う潮目が絶好の漁場となるように,アメリカを発展させた原動力のひとつが,人種などの多様性を柔軟に受け入れて認めてきた点にあると思います.アメリカが大国であるせいで世界に及ぼす弊害もあるでしょうが,国民に自由を認め,世界的にもその価値観を広めている点は,この上なく素晴らしいことだと思います.

 そんなアメリカが,トランプ氏の大統領就任でいわゆる「自国中心主義」,それも“白人の白人による白人のための国”になってしまいそうなことを恐れているのは,私だけではないはずです.これとは対照的に,外国人の数がこれまでにないペースで急増している韓国では,好むと好まざるとに関わらず,人種の多様性を認めざるを得なくなってきています.

 歴史的な経緯を詳しく検証すると話は変わってくるかもしれませんが,韓国は北朝鮮も含めた朝鮮半島(韓半島)全体が単一民族だという意識を,韓国人は持っているようです.あいまいさを嫌い,白黒をはっきりさせるのを好む国民性もあってか,いわゆる“よそ者”に対する風当たりは強く,世界各地に定着する華僑でも,韓国では定着が難しかったといわれています.

 親戚や友人知人とは深い“정”(情)で結ばれた韓国人.ですが,外見で判断するしかない見知らぬ人に対しては,単に顔の良し悪しだけではなく,男女関係なく背は高ければ高いほど良く,肌は白ければ白いほどいいといった“외모지상주의”(外貌至上主義)がふだん以上に強く発揮されるのかもしれません.お眼鏡にかなわない人の前では,あからさまに嫌悪感を示す韓国人もいます.

 外国人に対する認識を改善するため,韓国人と外国人の夫婦やその子供たちが一緒に暮らす,いわゆる“다문화가정”(多文化家庭)への理解を促すキャンペーンなどを韓国政府は積極的に行っています.各自治体の“多文化センター”などでは,韓国語がまだよくわからない外国人のための韓国語教育を行うなどの支援策も行っていますが,外国人と韓国人がうまくやっていくためには,韓国人の意識改革も欠かせないということでしょう.

 日本のことを振り返ってみると,ヘイトスピーチが横行したり,排外的な主張をするデモが行われるなど,ここ数年で自国中心的な考え方を持つ日本人が目立ってきています.人には感情があり,差別意識を一掃することは無理なのかもしれません.しかし,そのせいで誰かに不快な思いをさせたり,増してや不利益を負わせることのないよう気をつけることはできます.他国の状況をお手本に,時には反面教師としながら,いろんな人々が“공생”(共生)する世の中を実現できればと思います.
posted by kajiritate webmaster at 23:50| Comment(0) | 日記