2016年09月23日

[韓国語学習]「語基」のどこが便利なのか?

 韓国語の勉強でまず初めに大変なのが,ハングルの字母を覚えることだと思います.子音字はㄱ,ㅋ,ㄲのように平音,激音,濃音の違いがあり,日本語の清音と濁音の違いとは概念が違いますので,発音の似た3つの何がどう違うのかピンときません.複合母音字にもㅙ,ㅚ,ㅞのように発音が似ていて紛らわしいものがあります.中には韓国語母語話者でも発音を区別しないものもありますが,書くときは区別が必要ですので,きちんと覚えなければなりません.

 すべての字母を初めから完璧に覚えようとするとそれだけとても時間がかかりますので,ある程度覚えたら先に進んで,記憶があいまいな字母を目にしたら,振り返って確認するのが得策だと思います.そうして学習を進めていくと,次に悩まされる学習上の大きな山場が,動詞や形容詞など用言の活用だと思います

 用言の正しい活用形を使いこなせるようになるには“慣れ”が必要で,それには韓国語を実際に何度も使ってみる訓練が必要です.こどもが母語を覚えるときのように,何年も韓国語漬けの環境にいられれば理想的ですが,日本の学習者には到底無理な話です.そんな経験を通した習得が難しい場合,大きな助けとなるのが文法的な知識です.

 豊富な経験には及ばないでしょうが,文法の知識は訓練不足をある程度補ってくれます.電車の特急券…とまではいかないまでも,各駅停車のゆっくりとした学習から,快速電車に乗り換える程度の勢いがついた学習は期待できると思います.韓国語の用言活用でそれに当たるのが「語基」だといえます.

 この「語基」という考え方は,韓国では全くと言っていいほど知られておらず,韓国に行って韓国語を勉強したという方は聞いたこともないはずですし,日本で「語基」の出てくる学習書で勉強してから韓国に勉強しに行った方は,「語基」がどこにも出てこないことに驚かれると思います.本場の韓国で使われていませんし,独特な文法の考え方で頭痛の種を増やしているように思われるのか,「語基」を敬遠する方もいらっしゃるようです.しかし,「語基」を利用しない手はないと私は思っています.

 突然ですが,小学校の頃かけ算の“九九”を覚えさせられた経験は,皆さんお持ちのはずです.1段ずつ覚えて,担任の先生の前にクラスのみんなで列を作って,ひとりずつチェックしてもらっていた記憶が私にはあります.いまでは電卓が安く売られていますし,パソコンや携帯電話にも機能のひとつとして備わっていますが,私の小さかった頃は,電卓はとても高価なものでした.ですので,“九九”ではなく,99×99とか,999×999とか,どんな掛け算の答えも載っている大きな早見表を作っておけば便利だろうな…と単純に考えていました.

 しかし,どんなに大きな表を作っても,それより大きな数の掛け算はいくらでもありえますので,きりがありません.とりあえず9の段の掛け算と,掛け算に0が出てきたら答えも0になることを覚えておけば,あとは筆算ができればどんな大きな数の掛け算でも応用できますので,わざわざ大きな早見表をつくらなくても済みます.掛け算で“九九”に当たるものが,韓国語の用言活用では活用の種類別(規則活用,ㅂ不規則活用,ㅅ不規則活用,러不規則活用…)に「語基」(第T語基,第U語基,第V語基)を整理したものだといえます.

 1×1=1,1×2=2…と9の段まで覚えておけば,例えば87×3とか23×318といった掛け算にも筆算で対応できるように,韓国語の用言の活用でも,母音語幹の規則活用で第T語基の形,同じく第U語基の形…と,すべての活用の第T,第U,第V語基の形を覚えておくと,初めて出てきた動詞や形容詞でもその活用の種類が分かれば,また,初めての語尾でもそれが第何語基につくのかが分かれば,たちまち活用させることができます.

 もし「語基」を利用しなくても,例えば먹다なら먹는다,먹고,먹는,먹은,먹을,먹으면,먹어,먹어서…のように,色んな語尾がついて活用した形を覚えればよく,「語基」を使わない韓国では実際にそうしています.日本の学習書には色んな動詞や形容詞の活用形を表にして一冊にまとめたものもあります.特に入門段階では,このようにすべてを提示してもらったほうが分かりやすいというのも事実です.

 しかし,学習が進んでくるにつれ,複雑で量の多い用言の活用をもう少し効率的に学べる方法はないかな,何か規則性があればいちいち実際に活用した形を覚えなくて済むし,応用もきくのにな,と考える方も多いと思います.そんな方にとって,「語基」が大きな味方になってくれることは間違いありません.
posted by kajiritate webmaster at 23:44| Comment(0) | 日記