2016年09月21日

[韓国語]ちょっと不思議な(?)食べ物の名前

 今回は個人的に何だか不思議な感じを持っている韓国語のうち,食べ物を指す単語を3つ挙げてあれこれ書いてみたいと思います.

■고추(コチュ,唐辛子)

 言わずと知れた辛味を利かせる韓国料理には欠かせない代表的な食材です.中にはそれほど辛くない品種もあるようですが,真っ赤でとにかく辛いというイメージを誰もがお持ちだと思います.料理に添えられた生の青唐辛子に味噌のようなものをつけて,ポリポリと食べたりもします.激辛のものをかじると涙が止まらなくなって大変です.

 この唐辛子,私が子供の頃でまだ日本で韓国料理があまり知られていなかった頃は,うどんやそばにほんの少しだけ一味唐辛子や七味唐辛子の粉を振る程度で,使われるシーンはかなり限定的だったと思います.そして,当時は唐辛子のことを「こしょう」と言っていた記憶があります.ネットで検索してみると,九州だけで唐辛子が「こしょう」と呼ばれているらしいことが分かりました.

 고추とこしょう,発音が似ています.ですが고추は漢字語「苦椒」が語源で,「胡椒」ではありませんので,고추と九州の「こしょう」とは無関係のようです.しかし,九州に昔「苦椒」という名前で唐辛子が伝わり,発音の似た「胡椒」と次第に混同されるようになって,それと共に「苦椒」という漢字表記が廃れていったとしたら…? 想像の域を超えませんが,ありえないことでもないかな,とも思います.

■하이라이스(ハイライス,ハヤシライス)

 日本の「ハヤシライス」に当たる料理を,韓国では「하이라이스」(ハイライス)と呼ぶようです.牛肉とトマトの旨みがいっぱいのルー(ソース?)を,カレーライスのようにご飯と一緒に食べる料理ですが,韓国ではなぜか“ハヤシ”が“하이”(ハイ)になっています.

 「ハヤシライス」の「ハヤシ」の由来についてはいくつかの説があって,この洋食風の料理を日本で広めた人の名前が由来だとも言われているようですが,はっきりとしたことは分かっていないようです.その点にも興味をそそられますが,韓国に伝わる過程でなぜ“ハヤシ”が“하이”に変化したのかも気になります.

 料理としての「하이라이스」が「ハヤシライス」とどう違うのかも気になっていて,機会があれば「하이라이스」を実際に食べてみたいと思っているのですが,まだその機会には恵まれていません.どこのお店で扱っているのか…? 昔は比較的気軽に洋食が楽しめる「경양식」(軽洋食)と呼ばれる食堂が街中に結構あったようなのですが,もうあまり見かけないようです.

■자몽(ジャモン,グレープフルーツ)

 ジャモン,ジャモン,ジャモン….聞き慣れた響きにも感じます.日本には「ザボン」(=ボンタン)という大きな実の柑橘類がありますが,それが韓国式に「자몽」と呼ばれるようになった上に,「자몽」が指すもの自体も「ザボン」から「グレープフルーツ」に入れ替わってしまったようです.

 표준국어대사전(標準国語大辞典)には,「자몽」はポルトガル語由来とありますが,いったん日本を経由して朝鮮半島に入った可能性もあります.食べ物ではありませんが,タイヤなどに使われる工業製品の「고무」(ゴム)は,辞書にはフランス語由来とあります.しかし,こちらもフランスから直接伝わったのではなく,日本経由で伝えられた可能性が高そうです.ちなみに,チューインガムの「ガム」は「껌」(コム)といい,こちらは英語由来のようです.

 植民地時代,チェジュ島に入植した日本人がミカンなどの柑橘類を持ち込んで本格的に栽培を始め,これが島の気候に合っていたようで,今でもチェジュ島はミカンなどの柑橘類の産地として有名です.韓国語でミカンは「귤」(キュル,橘)といいますが,日本語そのままの「미깡」(ミカン)という呼び方も残っています.「ザボン」も日本から持ち込まれて,こちらはあまり広まらずに「자몽」という呼び方だけが外見の似た「グレープフルーツ」に引き継がれたのかもしれません.

【2016.9.24 追記】
 Wikipediaの「ハヤシライス」の記事によると,近畿では「ハイシライス」略して「ハイライ」とも呼ばれているそうですので,関西出身の日本人,または関西で暮らしたことのある韓国人がその名前で韓国に持ち込んで.その後少し名前が変化して「하이라이스」になったのかもしれません.
posted by kajiritate webmaster at 22:30| Comment(0) | 日記