2016年09月07日

[韓国語?]필로폰(ヒロポン)

 韓国社会に不安を感じる主に若い世代の韓国人のようすを新造語を通して垣間見る記事が,きのう6日付の日本経済新聞に掲載されていました.会員限定記事ですが,登録(無料)会員になれば月に記事10本まで無料で閲覧できます.

新造語に韓国若者の声 「クッポン」過剰な愛国心 「ヘル朝鮮」生きづらさ 社会への不満・不安映す(日本経済新聞)2016/9/6

 ログインせずに読める範囲でも,「ヘル朝鮮」「N放(抛)世代」「クッポン」といった新造語が見られます.「ヘル朝鮮」「N放(抛)世代」の2つは見聞きしたことがありましたが,「クッポン」という新造語は私は初めてです.

 「헬조선」(ヘルジョソン,ヘル朝鮮)は,英語のhell(地獄)と朝鮮を合わせたことばで,韓国社会の生きづらさを表現したものです.なぜ「헬한국」(ヘル韓国)ではなく「헬조선」なのかはよく分かりません….今の北朝鮮,あるいはかつて日本の植民地だった朝鮮の状況になぞらえたのかもしれません.

 「N포( 세대)」(Nポ(セデ),N放(世代))は,多くのことを諦めざるを得ない(若い世代)という意味で,‘포’は“포기”(抛棄=放棄)の略です.Nの部分には元々具体的な数字が入っていました.初めは「3포」といわれ,恋愛・結婚・出産の3つを指していましが,社会的な不安から諦めなければならないことは他にもあると次第に数が増えて,結局どんな数でも入れられるように不定数を示すNになったようです.

 「국뽕」(クッポン)は,国(国家)のことを示す국(クク,国)と,히로뽕(ヒロポン)の뽕(ポン)を合わせたもので,国粋主義的な考え方に酔いしれるようすを薬物中毒に例えて揶揄しているようです.上の記事では,この夏韓国で興行的に大成功している韓国映画の「인천상륙작전」(インチョン(仁川)上陸作戦)や,「덕혜옹주」(徳恵翁主)を例にして「국뽕」を説明しています.

 徳恵翁主(トッケオンジュ)は,朝鮮の第26代国王で大韓帝国初代皇帝の高宗(コジョン)の側室が生んだ王女で,2009年に出版された同名の小説も話題になりました.映画化に当たっては,徳恵翁主が日本の植民地下で独立運動にも関与したという史実とは異なるストーリーも盛り込まれており,韓国国内でもその賛否が分かれています.


●"덕혜옹주는 독립운동 안했다"...불붙은 논쟁 / YTN(2016/08/24)

 話を元に戻すと,히로뽕は日本の製薬会社が開発した覚醒剤の商品名で,その英名のPhiloponから,正しくは필로폰と表記します.日本で報道されるときには,何か特別な事情がない限り商品名ではなく一般名詞が使われるはずですが,韓国では필로폰ということばがニュースでもたびたび出てきます

 覚醒剤は각성제(カクソンジェ)といいますし,特に필로폰と同じ成分のものを指す場合は메스암페타민(メタンフェタミン)という一般名詞があるとWikipediaで知ったのですが,どちらのことばもほとんど使われていないようです.韓国では필로폰がすでに一般名詞化していて,特定の商品名とは知らずに使われているようです.
posted by kajiritate webmaster at 22:22| Comment(0) | 日記