2016年09月24日

[PC]ハングルを辞書登録して日本語IMEのまま入力

 韓国語を勉強している方は,お使いのパソコンでハングルも入力できるように韓国語IMEを追加設定していらっしゃる方も多いと思います.しかし,このブログでもそうですが,ほとんど日本語で書いている文章の中にハングルをちょこちょこ混ぜて書く場合は,日本語と韓国語のIMEを頻繁に切り替えなければならずちょっと手間がかかります.

 それを解消する方法として,当サイトの掲示板のこちらの記事で,11172文字すべてのハングルを一気にPC用のGoogle日本語入力に登録するためのテキストファイルを作成したというご投稿を頂いたことがありました.これを利用すれば,韓国語IMEに切り替えなくても単漢字変換と同じようにしてハングルを入力できるというものです.その方は,次のブログ記事で自作の登録ファイルを公開なさっています.

「Google日本語入力」で韓国語 (ハングル) をアルファベットで入力する(奈良人 in CT)

 もうひとつ,これと同じような形で登録ファイルを自作なさった方のブログを最近見つけました.こちらの方は,“ㅊ”を“ch”の他に“c”の1字だけでも入力できるようにして利便性を高めているのが大きな特長のようです.また,Unicodeでハングルの子音の字母は,例えば同じ‘ㅇ’でも初声に使われるものと終声に使われるものが別々に定義されていて,その区別がないものも含めて3種類の‘ㅇ’が定義されています(Wikipediaの記事).こちらの登録ファイルでは,同じ子音字母でも初声字と終声字を別々に扱い,それらを入力できるようにしています.こちらの方も作成した登録ファイルを公開なさっており,Googleドキュメントから自由にダウンロードできます.

ハングル用の辞書を作る(こぶり主義)

 この方法を掲示板にご投稿頂いたとき,これは便利だと思い自分でも試してみようと思ったのですが,Google日本語入力ではなく,WindowsPCに初めから入っているMicrosoft IMEではファイルの登録がうまくいかず,そこでいきなりつまづきました.Google日本語入力の登録ファイルは文字コードをUTF-8で,Microsoft IMEのそれはUTF-16で作成することがわかり,この点は文字コードの変換でクリアできました.

 そうして実際に使っているうちに,PCの韓国語入力で一般的に使われている두벌식(トゥボルシク,2ボル式)に慣れているので,ローマ字入力ではなく2ボル式でこれと同じことができないかと思うようになりました.今は,日本語IMEのまま두벌식と同じようにキー入力できる登録ファイルを自作して利用しています.

 その登録ファイルを当サイトで公開しているのですが,使っているうちに不備があちこち見つかり,最近また不備が見つかったので目下訂正中です….私が作成している登録ファイルは,全11172字のハングルのうち,KSコードに定義されている2350文字以外はコメントアウトしています.実用上は,2350字のハングルで充分という判断からです.訂正が終わったら,その登録ファイルを公開したいと考えています.

 今回はいずれの登録ファイルでもハングルをひと文字ずつ扱っていますが,この方法は単語やあいさつ文などをまとめて登録したいときに便利で,それが本来の使い方だと思います.文字コードさえ気をつければ,日本語だけでなくハングルも登録できますので,この方法を使ったハングル入力で他にもいいアイディアをお持ちの方は,一度お試しになってみるといいと思います.

【2016.9.25 追記】
 日本語IMEでハングルを1文字ずつ2ボル式で入力するための登録ファイルの修正版を,当サイトのサーバーにアップロードしました.次のリンクからダウンロードできます.

MS-IME_Dic_2BeolsikHangul_UTF-16_v2.00.zip

 zipファイルを解凍すると,テキストファイルが1つ現れます.その中に登録方法を簡単に記載しています.もう少しわかりやすく書きたかったのですが,登録ファイルのコメントと登録ツールの相性が悪いようで諦めました.コメントの書き方によって登録できたりエラーが出たりして,その原因を突き止めようとしてもよくわかりませんでした.
posted by kajiritate webmaster at 23:20| Comment(0) | 日記

2016年09月23日

[韓国語学習]「語基」のどこが便利なのか?

 韓国語の勉強でまず初めに大変なのが,ハングルの字母を覚えることだと思います.子音字はㄱ,ㅋ,ㄲのように平音,激音,濃音の違いがあり,日本語の清音と濁音の違いとは概念が違いますので,発音の似た3つの何がどう違うのかピンときません.複合母音字にもㅙ,ㅚ,ㅞのように発音が似ていて紛らわしいものがあります.中には韓国語母語話者でも発音を区別しないものもありますが,書くときは区別が必要ですので,きちんと覚えなければなりません.

 すべての字母を初めから完璧に覚えようとするとそれだけとても時間がかかりますので,ある程度覚えたら先に進んで,記憶があいまいな字母を目にしたら,振り返って確認するのが得策だと思います.そうして学習を進めていくと,次に悩まされる学習上の大きな山場が,動詞や形容詞など用言の活用だと思います

 用言の正しい活用形を使いこなせるようになるには“慣れ”が必要で,それには韓国語を実際に何度も使ってみる訓練が必要です.こどもが母語を覚えるときのように,何年も韓国語漬けの環境にいられれば理想的ですが,日本の学習者には到底無理な話です.そんな経験を通した習得が難しい場合,大きな助けとなるのが文法的な知識です.

 豊富な経験には及ばないでしょうが,文法の知識は訓練不足をある程度補ってくれます.電車の特急券…とまではいかないまでも,各駅停車のゆっくりとした学習から,快速電車に乗り換える程度の勢いがついた学習は期待できると思います.韓国語の用言活用でそれに当たるのが「語基」だといえます.

 この「語基」という考え方は,韓国では全くと言っていいほど知られておらず,韓国に行って韓国語を勉強したという方は聞いたこともないはずですし,日本で「語基」の出てくる学習書で勉強してから韓国に勉強しに行った方は,「語基」がどこにも出てこないことに驚かれると思います.本場の韓国で使われていませんし,独特な文法の考え方で頭痛の種を増やしているように思われるのか,「語基」を敬遠する方もいらっしゃるようです.しかし,「語基」を利用しない手はないと私は思っています.

 突然ですが,小学校の頃かけ算の“九九”を覚えさせられた経験は,皆さんお持ちのはずです.1段ずつ覚えて,担任の先生の前にクラスのみんなで列を作って,ひとりずつチェックしてもらっていた記憶が私にはあります.いまでは電卓が安く売られていますし,パソコンや携帯電話にも機能のひとつとして備わっていますが,私の小さかった頃は,電卓はとても高価なものでした.ですので,“九九”ではなく,99×99とか,999×999とか,どんな掛け算の答えも載っている大きな早見表を作っておけば便利だろうな…と単純に考えていました.

 しかし,どんなに大きな表を作っても,それより大きな数の掛け算はいくらでもありえますので,きりがありません.とりあえず9の段の掛け算と,掛け算に0が出てきたら答えも0になることを覚えておけば,あとは筆算ができればどんな大きな数の掛け算でも応用できますので,わざわざ大きな早見表をつくらなくても済みます.掛け算で“九九”に当たるものが,韓国語の用言活用では活用の種類別(規則活用,ㅂ不規則活用,ㅅ不規則活用,러不規則活用…)に「語基」(第T語基,第U語基,第V語基)を整理したものだといえます.

 1×1=1,1×2=2…と9の段まで覚えておけば,例えば87×3とか23×318といった掛け算にも筆算で対応できるように,韓国語の用言の活用でも,母音語幹の規則活用で第T語基の形,同じく第U語基の形…と,すべての活用の第T,第U,第V語基の形を覚えておくと,初めて出てきた動詞や形容詞でもその活用の種類が分かれば,また,初めての語尾でもそれが第何語基につくのかが分かれば,たちまち活用させることができます.

 もし「語基」を利用しなくても,例えば먹다なら먹는다,먹고,먹는,먹은,먹을,먹으면,먹어,먹어서…のように,色んな語尾がついて活用した形を覚えればよく,「語基」を使わない韓国では実際にそうしています.日本の学習書には色んな動詞や形容詞の活用形を表にして一冊にまとめたものもあります.特に入門段階では,このようにすべてを提示してもらったほうが分かりやすいというのも事実です.

 しかし,学習が進んでくるにつれ,複雑で量の多い用言の活用をもう少し効率的に学べる方法はないかな,何か規則性があればいちいち実際に活用した形を覚えなくて済むし,応用もきくのにな,と考える方も多いと思います.そんな方にとって,「語基」が大きな味方になってくれることは間違いありません.
posted by kajiritate webmaster at 23:44| Comment(0) | 日記

2016年09月22日

[韓国語・朝鮮語]오리발

 「겨레말큰사전 남북공동편찬사업회」(キョレマル大辞典 南北共同編纂委員会)のサイトに掲載されているコラム「남녘말 북녘말」(南のことば北のことば).今月20日に公開された最近のコラムでは,いつも面白いエピソードとともに南北のことばの差についてコラムを書かれている김완서(キム・ワンソ)責任研究員が,今回も面白いコラムを書かれています.

 その面白さをどれほど伝えられるか疑問ですが,今回公開されたコラムを全文和訳してみました.取り上げられているエピソード自体が,日本のどこかの学校でもありそうなことですので,和訳に難があっても充分面白いのではないかと思うのですが,どうでしょうか.

 『조선말대사전』には「닭잡아먹고 오리발 내놓는다」という表現が掲載されていますので,北朝鮮でも“しらを切る”の意味で『오리발』が使われている点は韓国と同じようです.


오리발 친구(김완서 겨레말대사전 책임연구원

 私が高校3年生だった1989年の中間考査期間にあったことだ.私は2組で,小学6年のときからの仲良しは4組だった.その友人は体育学科に行こうと勉強よりはスポーツの実習に熱中する日々を過ごしていた.ところが中間考査期間だったある日,試験の準備には背を向けていたその友人が,こんどの化学の試験に出る可能性が高い記述式の問題といって10問を選んたものをくれた.スポーツの実習のため勉強には力を入れていなかった友人がいきなり渡した化学の記述式問題10問は,ある問題集からそのまま抜き出したものだったので,出題される可能性はほとんど無いように思われた.そのため,私は自分の教室に帰って60名あまりのクラスメートに,こんどの中間考査に出そうな問題だといって,その友人が選んだ10問をすべて知らせてしまった.

 そして化学の試験があった日,私は問題用紙を開いて自分の目を疑わすにはいられなかった.化学の記述式問題10問のうち,その友人が予想問題だとくれたものから一字一句違わずに8問がそのまま出題されていたのだった.なんと80%にも及ぶ驚きの的中率だった.出題されたのに驚きながら,とても簡単に問題を解いた.そしてその吹き返しは,中間考査がすべて終わってから私にやってきた.文系の全6クラスのうち,唯一私のクラスだけが化学の平均点数が飛びぬけて高いという結果が出たのだった.これについて化学の問題を出題した先生は疑念を抱き,私のクラスの友人たちがあちこちに私が知らせた問題のほとんどが出たと騒ぎ立てたので,私は化学の先生から呼び出しを受けた.教務室に入るや否や,先生は私を厳しく追求しはじめた.

 「君,その問題をどうやって知った? 問題が流出したのか? ちゃんと答えろ.再試験しないといけないかもしれない深刻な問題だからちゃんと答えろ.分かったか!!!」

 私は先生の相次ぐ厳しい追求に対し,とてもシンプルに答えた.

 「4組の○○君が教えてくれたんです」
 「何だと? そいつも連れて来い,早く!!!」

 私は4組に行って仲良しを呼び出した.こういう理由でお前も来いと言っていると.その友人は顔をしかめてかなり怒ったようすで私に言った.

 「クラスのみんなに知らせたせいでこんなことまでやらしやがって」

 その友人と私は一緒に教務室に入った.化学の先生は私にしたのと同じように私の友人を追及した.だが,私の友人は堂々とこう答えた.

 「問題が流出したんじゃなくて,単にふざけて僕が持っている問題集から10問選んで彼に渡しただけです」

 先生はとても気の抜けた顔をして,ただ一言だけ言った.

 「もういい」

 完全に偶然の一致で先生と私の友人が同じ問題集から同じ問題を選んだだけだったというハプニングとして,その日の事件は一段落した.

 前に一度,北側(=北朝鮮)にだけあることばとして『딱친구』(タクチング)を紹介したことがある.この『딱친구』と同じことばがもうひとつある.『조선말대사전』(朝鮮語大辞典)には収録されていないことばだが,私たちが保有しているコーパスを検索するとその用例が出力され,北側の研究者が『딱친구』の説明をしてくれたときに私に教えてくれた話でもある.

 ‐私といま里の党秘書をしているクヮンヒョクと,この家の一番上の孫のチョンソンは{오리발 친구(オリバルチング)だが},町内で一番いたずらのひどいいたずらっ子たちだった.「チョン・チャンド:『帰郷』」

 北側の研究者は『오리발』(アヒルやカモの足,水かき)が取れているのではなくてくっついているので,いつもくっついて回る親友を『오리발 친구』といい,『딱친구』と同義語だと,私に詳しく説明してくれた.そのときは『딱친구』と『오리발 친구』は同義語だと思ったが,いま考えてみると「딱친구=오리발 친구」という公式は成立しないようだ.『딱친구』は「いつもくっついて回る親友」というよりは「お互いに心を開いている親友」という意味なので,『딱친구』と『오리발 친구』を同義語と見るのは難しそうだ.そのため,『오리발 친구』と同じ意味として使われることばは『단짝 친구』(タンチャクチング)がより合っているように思える.

 南側(=韓国)では『오리발』を「しらを切る態度を俗にいうことば」という『표준국어대사전』(標準国語大辞典)という語釈のように否定的な意味で使うのに対し,北側では『오리발 친구』のように肯定的な表現でも使用するという点から,『오리발』の使われ方に南北で差があるということが分かる.
posted by kajiritate webmaster at 22:14| Comment(0) | 日記