2016年08月14日

[朝鮮語]王様の耳は“空牛”の耳!?

 南北朝鮮が共同で“겨레말큰사전”という辞書を作るプロジェクトのサイトで掲載されているコラム“남녘말 북녘말”.現在最新の11日付のコラムは“낙화생/락화생(落花生)”というタイトルで,このコラムでよくお名前を目にする김완서責任研究員が,南北の語彙の差についてご自分の酒宴での苦労話を交えて執筆しています.

낙화생/락화생(落花生)(남녘말 북녘말)2016.08.11

 タイトルだけ見ると,北朝鮮ではㄹが語頭に立たない두음법칙に関するコラムなのかな,と思いましたが,実際にコラムを読んでみると,순화어の使用に関する内容でした.南北とも“낙화생/락화생(落花生)”の순화어として“땅콩”を使うようにと辞書にも掲載されていて,韓国ではすでに땅콩が広く普及して낙화생は死語になったとのことです.しかし北朝鮮では,락화생が今でも広く使われていて,文学作品の中でも락화생ということばが使われている例を挙げています.

 研究員の方はお菓子の包装紙にも“락화생과자”と印刷されているのを実際にご覧になったそうです.これを読んで私も思い出したことがあります.もうすっと前のことですが,日本の領海に現れた“不審船”に海上自衛隊か海上保安庁かが攻撃を加え,不審船の乗組員が自決したことがありました.

 その船内から見つかった遺留物として“락화생과자”というお菓子の包みや,“려과담배”と書かれたタバコの箱の写真が公開されました.ハングルは北朝鮮で使われている感じの字体で,いずれも두음법칙が適用されていないので,不審船が北朝鮮の船だとの印象を受けるには,この2つの遺留物の写真だけで充分でした.

 このコラムから,ピーナッツは韓国ではふつう땅콩と呼ばれ,北朝鮮では락화생と呼ばれていることがわかったのですが,コラムの最後にはちょっと楽しいおまけ(?)がついていました.

 コラムでは南北で異なる語彙の例としてもうひとつ“당나귀/하늘소”を挙げています.動物のロバのことを,韓国では(당)나귀と言い,北朝鮮にも당나귀ということばはありますが,ロバのことはふつう하늘소と言うようです.하늘소…? 私には初めての単語です.無理矢理2つに分解すると하늘と소….“空”と“牛”….謎が余計に深まるだけです.

 コラムを読むと,하늘소は韓国では何かの昆虫の名前のようですが,いくら考えても分からないので辞書を引くと“カミキリムシ”とありました! つまり,韓国ではカミキリムシだけ指す하늘소は,北朝鮮ではロバとカミキリムシの両方の意味があるようです.조선말대사전で하늘소を引くと,ロバという意味が先に掲載されていて,カミキリムシの하늘소の語釈には一文だけ「《돌드레》를 달리 이르는 말.」と書かれています


posted by kajiritate webmaster at 23:33| Comment(0) | 日記