2016年08月04日

[韓国語]韓国語の学習書は昔からたくさんあった!?

 いわゆる“韓流ブーム”の後,韓国語にも興味を持つ人が爆発的に増えたようで,学習書の数がグンと増えました.以前は大きな本屋さんに行っても韓国語の学習書はそれほど多くなく,というか,あまり種類がなくて,選ぶ楽しみがあまりありませんでしたが,今では棚に溢れんばかりのいろいろな本があって,逆に多すぎて選びづらいというとても贅沢な(?)状況になっています.

 こんな状況ですので,時代を遡るほど韓国語の学習書の種類も少なく,本当に数えるほどしか無かったのだろうと長年思っていました.そんなある日,国立国会図書館が“近代デジタルライブラリー”という,著作権の切れた本などの画像をネット上で公開するサービスを行っていることを知り,そこで「韓国語」「朝鮮語」といったキーワードで検索してみると,意外とたくさんの本がヒットして驚きました.現在,“近代デジタルライブラリー”は“近代デジタルコレクション”と名前を変え,ビューアーもさらに使いやすくなっています.

 そうは言っても,元から多くの学習書があったわけではありません.明治の初め,まだ日本と朝鮮半島の外交が対馬を通じで行われていたころまでは,雨森芳洲(あめのもりほうしゅう)の“交隣須知(こうりんすち)”という書物がほぼ唯一の学習書だったようです.この本は,単語や文法などの説明は無く,短い例文とその和訳ばかりで構成されています.雨森芳洲は17〜18世紀に生きた人ですので,この本もその頃のものだと思われますが,その後,多くの人が加筆されて明治まで学習書として使われていたようです.

 明治になると,日本も欧米にならって帝国主義の道を歩き始めます.1894年には日清戦争,1904年には日露戦争が勃発,日本はいずれにも勝利します.その名前の通り,日清戦争は清国(中国)との,日露戦争はロシアとの戦いでしたが,どちらも朝鮮半島が戦場となりましたので,現地に駐屯する軍の関係者の間で朝鮮語の必要性が高まったようです.そのため,旅行会話本のようなカタカナで朝鮮語を記した会話用の簡単な本が作られています.こちらも“近代デジタルコレクション”にいくつかありますので見てみたことがあるのですが,カタカナだけでは元の朝鮮語がよく分からず,間違ってるんじゃないかな?と思える文もありました.

 朝鮮が日本の植民地になるのはその少し後ですが,その頃日本はすでに朝鮮に大きな影響を及ぼす存在になっていました.韓国語の学習書も,このころ本格的なものが登場します.中でも私がその存在を知って大変驚いたのは,前間恭作の“韓語通”です.前間恭作は対馬の出身で,国家公務員として朝鮮で通訳をしていたこともある人物です.朝鮮語だけではなく英語にも通じていたようで,一時はオーストラリアに赴任していたこともあります.

 “韓語通”は品詞ごとに章を設けて説明し,本の最後には“交隣須知”のように,韓日対訳の実用的な会話集を載せています.分量も多く,当時と今とでは文法用語に差があり,何より文体が今とは違いますので意味を取りづらいところもあり,読むのがとても大変です.この本は,用言の活用を3つのパターンに分けて説明する,今で言う“語基式”を採用した韓国語の学習書としては最も古いもののようです.

 “韓語通”は“近代デジタルコレクション”の他,“グーグルブックス”でも無償公開されています.PDF形式でのダウンロードも可能で,その場合,“近代デジタルコレクション”には一度にダウンロードできるページ数に制限がありますので,数回に分けてダウンロードしなければならない繫雑さがありますが,“グーグルブックス”の場合は一括でダウンロードできます.

 また話が無駄に長くなりましたのでこの辺で….その他の学習書については“近代デジタルコレクション”で検索して探してみてください.
posted by kajiritate webmaster at 22:34| Comment(0) | 日記