2016年07月09日

[漢字]용산は龍山か竜山か?

 ソウルの古くからの中心部の南側に広がる용산(ヨンサン).용산といえば,多くの電子製品の販売店が集まる전자상가(チョンジャサンガ,電子商街)が思い浮かびます.용산駅自体もとても大きく,他にもいろいろ観光やショッピングをするのにいい場所があるでしょうが,私は1度しか行ったことがなく,しかも신용산(シンヨンサン)駅と용산駅とを間違えて道に迷った記憶しかなく,용산周辺に何があるのかよく分かりません….

 용산は漢字で“龍山”です.ただ,日本の常用漢字では龍の字を‘竜’と書きますので,日本で용산を紹介するときは“竜山”としたほうがいいのではないかと思います.しかし,ウェブで“ソウル 竜山”と検索してみても,ヒットするのは“龍山”という表記が圧倒的です.日本の広島を“廣島”とは表記しないのと同じで,“龍山”も“竜山”という表記が妥当に思えるのですが,‘龍’が旧字体,‘竜’はその新字体で結局は同じ漢字だという認識は,私が思うほど一般的ではないのかもしれません.

 ただ,용산は日本ではありませんし,たとえ日本であっても人名などの固有名詞に一律に新字体を適用するのはそぐわないかもしれません.‘龍’と‘竜’について考えさせられる記述を,日本の国立国会図書館のサイトで見つけましたのでご紹介しておきます.

「村上龍」を「村上竜」としているように、人名の漢字が旧字を使用している場合に新字で記録しているのは間違いではないでしょうか?(書誌データQ&A:書誌データの内容:文字)

 漢字の韓国語での発音を覚えることは,韓国語学習を加速させるよい方法のひとつです.韓国では日本の新字体は使用しませんので,竜/龍のように日韓で字体差があるものは,そのことも把握しておく必要があります.さらにいうと,龍の場合は本来の漢字音は룡で,語頭ではㄹが落ちてしまいますので,룡と용の2つがあることも押さえておかなくてはなりません.

 旧字体と新字体の対応が1対1だと分かりやすいのですが,複数の旧字体が同じひとつの新字体にまとめられている場合もあります.元の複数の旧字体の漢字音が全部同じだといいのですがバラバラなこともあり,その場合は注意が必要です.

 例えば,テーブルという意味の‘台’の旧字体は‘臺’です.“台風”の‘台’は元々‘颱’という漢字でしたが,‘颱’が当用漢字に含まれなかったため,「同音の漢字による書きかえ」(ウィキソースへのリンク)により日本では‘台’と書くことにしました.そのため,同じ‘台’を使っていても,韓国での漢字音は‘臺’の場合は대,‘颱’の場合は태というように,区別する必要が生じることもあります.

 この「同音の漢字による書きかえ」は,熟語などを簡単な漢字で表記できるようになったという点ではよかったのですが,書き換え対象と漢字の音読みと,書き換え後の漢字のそれとが日本語では同じでも,韓国語の漢字音では必ずしも一緒ではないため,日本語での漢字表記そのままで韓国語読みしても正しい韓国語にならないことがあり,韓国語学習者としては混乱させられます.

 このようないわば日韓の熟語のねじれについて,主なものは例えば前田先生のサイトの次のページにまとめられています.詳しく見るときりがないほど,もっとたくさんあるかもしれません.

代用字による漢字音の違い

 これを書いていて,용산역と신용산역の発音でㄴ添加が起きるのかという,漢字とはまた別の疑問が浮かんできました….용산역はたぶん[용산녁]でしょうが,신용산역は[신v용산녁]とひと呼吸置いて読むのか,[시뇽산녁]と一気に読むのか,それともㄴ添加が2箇所で起きて[신뇽산녁]なのか….こんどソウルに行く機会があれば,車内アナウンスを聞きに地下鉄4号線に乗ってみたいと思います.


#한국(韓国)
#한자(漢字)
posted by kajiritate webmaster at 22:57| Comment(0) | 日記