2016年04月19日

[韓国語]ㄹ(リウル)が好きな韓国人


 ハングルは発音を示す表音文字ですが,韓国語は音韻変化が複雑で書いたとおりには読まれないことが多々あるのは,まだ韓国語の勉強を始めたばかりの方々もすでにご存知だと思います.連音化,有声音化,鼻音化,濃音化,激音化,口蓋音化…と,何だか難しい言葉が初級段階からたくさん出てきてとても覚えられず,文法を中心に学ぼうとしている方はとても苦労されていると思います.

 それらの発音を,音韻変化せずに書いたまま読むのと,変化させて読むのとを比べてみて,どちらが言いやすいか実際に試してみると,ほとんどの場合は変化させて読むほうが発音は楽だと思います.これらの音韻変化は人が言葉を発するときにごく自然に起こることです.日本語話者が「いっぽん(1本)」「にほん(2本)」「さんぼん(3本)」のような読み分けを自然とやっているように,韓国語話者もわざわざ連音化,有声音化,鼻音化…などを意識して発音しているわけではありません.

 おそらく言いやすい発音に変化する現象は世界中どの民族でもの言語でも起こっていることで,英語で言うと例えば pineapple を「パインアップル」ではなく「パイナップル」のように発音するのは連音化と同じ現象と言えますし,good morning を「グッドモーニング」ではなく「グンモーニン(グ)」のように発音するのは鼻音化と同じ現象だと言えます.

 ただし,そうだとは言い切れない音韻変化が韓国語にはあります.それは「流音化(舌側音化)」です.ㄴ(n)音の前か後ろにㄹ(r)があると,ㄴがㄹの影響でㄹに変わってㄹの連続として発音される現象です.北朝鮮ではこの変化は認めておらず,書いたとおりに読むようにしています.例えば,본론(本論)の発音は,韓国では[볼론]ですが,北朝鮮では表記どおり[본론]です.ㄴをㄹに変化させてもさせなくても発音のしやすさにそれほど差はない,というか,日本語話者にㄹの発音はちょっと難しいので,むしろ変化させないほうが楽だと思うのですが如何でしょうか?

 以前このブログで,チェジュ(済州)島にある「한라산(漢拏山)」はもともと한나산だったのが나が라に変わり,結局[할라산]という発音になったことに触れましたが,ひょっとすると韓国人はㄹの発音が好きなのかな?と思えることをさらに見つけました.それは漢字語「道場」の発音です.

 「道」の漢字音は[도],「場」の漢字音は[장]で,柔道など武術の練習場の意味では[도장]ですが,仏教用語では[도‘량’]と発音するそうです.「場」の昔の発音は[댱]で,その後[쟝]に変化,さらに今では口蓋音化が進んで자と쟈の発音の区別がなくなり,漢字音の「쟝」は「장」と表記されるようになりました.ですので,「場」はハングルでは「장」と表記されるのがふつうです.しかし,仏教用語の「道場」の「場」は[댱]のㄷの発音がなぜかㄹに変化し,母音はそのまま変化せずに「량」になったようです.ただ,英語でも例えば water が「ヴァラ」のように聞こえることもありますので,ㄷがㄹに変わるのは韓国語に限った現象ではないのかもしれません.

 韓国語ではㄹが余計に発音されることがあります.ひとつは르変則活用の第V語基の語幹で,누르다→눌러のように活用しますが,話し言葉ではさらに第U語基の語幹でも누르다→눌르のように,正しい活用形は누르なのに눌르のように発音する人もいます.このように,文法的には誤りでも口語ではㄹが余計に発音されるのは,初声ㄹで始まる語尾にも見られます.가(다)+ ‐려고は,文法的には가려고が正しい形ですが,갈려고のような発音をよく耳にします.

 さらに,外来語で[ℓ]の発音を表すときも,語中ではㄹを重ねて書くことにしています.韓国語は日本語と同じくrとℓの区別はしませんし,ひとつの音をひとつのハングルの字母で表すという外来語表記法の原則に反してまでなぜそうしたのか私には分かりません….さすがにこれにはちゃんとした理由があると思うのですが….

#한국어(韓国語)
#ㄹ,리을(リウル,ℓ)
posted by kajiritate webmaster at 21:46| Comment(0) | 日記