2016年02月28日

[韓国文学]소나기の「윤 초시네」って何のこと?

 韓国では教科書にも登場する代表的な文学作品のひとつで,少年と少女のとても短い恋を描いた황순원(ファン・スヌォン,黄順元)の小説「소나기(ソナギ,夕立)」は,次の文章で始まります.


 소년은 개울가에서 소녀를 보자 곧 윤 초시네 증손녀(曾孫女)라는 걸 알 수 있었다. 소녀는 개울에다 손을 잠그고 물장난을 하고 있는 것이다. 서울서는 이런 개울물을 보지 못하기나 한 듯이.


 読み始めるとすぐに出て来る「윤 초시네」の『윤』は『ユン(尹)』という人の名字で,『〜네』は「김 씨네(キムさんち)」「박 씨네(パクさんち)」などというときの『〜(さん)ち』のことだろうと想像がつくと思いますが,『초시』でつまづいてしまうかもしれません.『초시』とは一体何のことでしょう? 辞書(표준국어대사전,標準国語大辞典)には次のように載っています.


 초시01 (初試)
「명사」
「1」『역사』과거의 첫 시험. 또는 그 시험에 급제한 사람. 서울과 지방에서 식년(式年)의 전해 가을에 보았다.
¶ 천여 명 중의 육백 명이 초시에 뽑히고 초시 육백 명 중의 십팔 명이 전시에 뽑히었었다.≪홍명희, 임꺽정≫
「2」예전에, 한문을 좀 아는 유식한 양반을 높여 이르던 말.


 朝鮮時代までは中国にならい과거(クヮゴ,科挙)という試験が行われていて,合格すると양반(ヤンバン,両班)の地位が与えられました.今の日本で例えると,과거は国家公務員の総合職試験に,양반はエリート官僚に当たると思います.

 과거は男性ならほぼ誰にでも受験資格があったのですが,当時は과거の受験勉強に費やすだけの経済的余裕がある家は少なく,また,과거は3次試験まであり合格は至難の業でした.つまり「윤 초시네」とは「과거の1次試験に合格した윤さんち」という意味です.たとえ1次試験だけでも合格したということは윤さんはとても頭が良く,それ以前に,과거を受験できたということはこの地方で有数の経済的に豊かな家柄だったと考えられます.

 “話の雲行きが怪しいな…”と,カンのいい方なら作品名とこの出だしだけでうすうす感づくように書かれた作品なのかもしれません.ネタバレにならないよう今回はこれにて….


#문학(文学)
posted by kajiritate webmaster at 09:04| Comment(0) | 日記